タグ別アーカイブ: かき氷マシン

ゼンマイ仕掛けの男前デザイン ~himuro開発ストーリー#05

・キューブアイス型なのにブロックアイス型に負けないかき氷製造機
・カフェやバーのカウンターに設置できる、超クールなIce Shaver



・・・クールなIce Shaver」って、あたりまえやろ!と、ひとりツッコミを入れながら、”himuro”(開発コードネームをつけました!)のコンセプトを検討しています。

超クールなデザインは、このプロジェクトが本格化すればイタリアに飛んでいって学生たちに考案してもらうとして、とりあえずどんなイメージで進めようかと考えているときに、当社のAくんがラフスケッチを描いてくれました!
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すごい!
タテ型のシュッとした男前なデザインです。!

さっそく藤原先生に見せたらとても気に入ってくださり、
「ハンドルを上下させてネジを巻いてゼンマイで動いたらおもしろいね!」とおっしゃっいました。

なるほど、ゼンマイか・・・モーター駆動のことばかり考えていたけれど電気のいらないゼンマイならPSEも必要ないし、どこにでも設置できる。何より江戸時代のからくり人形みたいでおもしろいな。

帰宅してからゼンマイについて調べました。

日本でゼンマイを製造しているところは4社あって、その中の1社は世界シェア 3割というすごい会社が富山県にありました。あの「チョロQ」やマクドナルドの景品になっているゼンマイ仕掛けのおもちゃのゼンマイなんかも出荷しているそ うです。

翌日この会社「東洋ゼンマイ」さんに電話をしました。受付の女性に用件を説明した後、代わって出てこられたのがなんと社長の長谷川さんでした。
簡単にゼンマイの力で氷を削りたいということや、大きさ、幅についての希望を伝えましたら、こんなトルクカーブのグラフがFAXで届きました。

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しかし恥ずかしながら文系の私には、何のことかさっぱり分かりません。泣

そこで再度長谷川社長に電話をかけ、dataの見方やかき氷製造機への採用が可能かを尋ねました。
社長によると、氷を押さえながら刃を回転させるとすれば、摩擦が生じ、その強さによってトルクは変わるし、200gのかき氷を作るために回転数を 多くすればトルクは反比例して下がる、というようなことを丁寧に説明して下さり、現時点ではこちらからもっと詳細な条件を提示しないと、ゼンマイ でかき氷が可能かどうかは返答できないとのことでした。

家庭用のかき氷製造機なら電池式のものもあるので、せめてその内蔵モーターの性能が分かれば、比較できるとのことだったので、アマゾンで発注しました。

届いたかき氷製造機を分解し、モーターを調べてみました。品番などが分かれば、必要なトルクや性能が分かるかもしれません。
img_1468このマシンに使用されているモーターは、Chengfang Motor社のOEM品で、品番による正確なdataは公開されていませんでした。しかし単三電池4コで動くので6Vのモーターだと推測できます。
またモーターには3コのギアが使用され、モーターの歯数を64倍にしています。 回転数を64分の1に減らしているということは、それだけトルクを上げているのでしょう。

そして、このかき氷製造機で家庭用冷蔵庫でできる氷9コを削り終えるのに約40秒かかりました。

この性能に匹敵する動力をゼンマイに求めた場合、どんな仕様になるのか、長谷川社長に再度尋ねました。

しかし結論としてはゼンマイにこれだけの力を求めると、ラフスケッチにあるような男前サイズに収まりそうにないようなので、残念ながらゼンマイ駆動はあきらめることにしました。

長谷川社長、見ず知らずの私が突然電話をしたにも関わらず、親身に相談に乗ってくださりありがとうございました!

つづく。

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氷文化の発祥は奈良だった!開発コードネーム=”himuro”に決定!  ~himuro開発ストーリー#04

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(国会図書館蔵)

藤原先生のお知り合いでジャーナリストのIさん、インターナショナルスクールのY校長と食事会があり、
かき氷っていつ頃からあったんだろう?という話題になりました。

「室町時代にかき氷を食ってたらおもしろいね。」なんて話していましたが、
帰ってググってみるととんでもないことがわかりました!

『4世紀後半、額田大中彦皇子が、都祁で氷室を発見。皇子はその氷を持ち帰って天皇に献じられ、天皇は歓喜せられた。』 (日本書紀)

『和銅3年(710年)7月22日、勅命により春日山で氷室を創建。翌年6月より70余年にわたり朝廷に献氷。平城京の東西市で氷室の氷を販売。』(氷室神社HP、大宮宮司さまの記事)

『あてなるもの(上品で美しいもの)』として『削氷(かずりひ)の甘葛(あまづら)に入りて、新しき鋺(かなまり)に入りたる』 (枕草子)

と、平安時代には完全な形の「カキ氷」が登場しています。

4世紀といえば大和朝廷の時代、やはり奈良は氷の文化の発祥だった!

よって、製品開発をすすめているかき氷製造機の開発コードネームを ” himuro ” と名付けました。

つづく。

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かき氷の進化 ~himuro開発ストーリー#03

開発をすすめることになったかき氷製造機についていろいろ調べてみると、数年前からかき氷がブームになっていることが分かりました。(知らなかった~ (^^ゞ)

かき氷といえば、

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こんなイメージしかなかったですが、知らないうちにおもいっきり進化していました!

奈良駅周辺だけでもかき氷店が数10軒あって、人気店はすごい行列です。
ひむろしらゆき祭の特設サイトにはおいそうなかき氷がたくさん並んでいます。
http://himuroshirayuki.wixsite.com/himuroshirayuki
エスプーマを使ったふわふわシロップや、フランスで修行されたパティシエが作った新感覚かき氷など、単に氷にシロップをかけただけではなく、もう完全に新たなデザートジャンルを確立しています。

これは一度食べてみなきゃと、もちいどの商店街の界隈をうろうろしているうちに小西通りの「ことのまあかり」にたどり着きました。このお店ではかき氷のことを削氷(けずりひ)といい、奈良時代ゆかりの人物名がメニューになっています。そのなかから「大海人(おおしあま)」というのを頼みました。

出来てきたのが、これです。すごい量です!

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ミルクがけのかき氷のなかに葛餅が入っていて、上からきなこと黒蜜をかけて食べます。
スプーンは発掘用のスコップ。笑
こんなに食べられないと思いましたが、ふわふわな氷が口の中でさっと溶け、あっという間に完食しました
近頃のかき氷恐るべしです。

もともとかき氷といえば、夏祭りの夜店やお好み焼き屋さんのイメージでした。

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でも最近ではこんなふうにおしゃれなカフェやレストラン、バーでも食べるようになりました。

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これだけかき氷が進化しているのに比べ、マシンの「上から氷を押さえて回転させて削る」というメカニズムは発明当時から100年以上ほとんど進化していません。デザインもレトロといえば良い感じですが、昭和感満載でおしゃれな店のカウンターには似合いません。

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これから開発するマシンは、全く新しいメカニズムで、バールやカフェのカウンターにもおけるクールなデザインを目指したいです!

つづく。

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ブロックアイスvs.キューブアイス 最初の氷削実験 ~himuro開発ストーリー#02

現在発売されているかき氷製造機は大きく2種類に分かれます。

1.ブロックアイス型(左側)
2.キューブアイス型(右側)

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ブロックアイス型は、かき氷製造機の王道で、約14cm角の氷を上から押さえ回転させながら削ります。氷は専門の氷業者が不純物を取り除いてじっくりと作った「純氷」で、ふわふわなおいしいかき氷ができます。
ほとんどのかき氷専門店は、このタイプのマシンを使っていると思います。

一方、キューブアイス型のかき氷製造機は、カフェやレストランなどにある製氷機の氷や家庭用冷蔵庫で作った氷を利用します。わざわざ専門の氷業者から純氷を買う必要がなく手軽にかき氷を作ることができますが、氷(キューブアイス)を入れる容器を回転させ遠心力で刃にあてて削る機構なので、ブロックアイス型かき氷製造機のようなふわふわなかき氷ができません。

簡単に整理するとこんな違いがあります。
●ブロックアイス型
○ かき氷本来のふわふわの食感、かき氷専門店が利用
○ 音が小さい(ベルト駆動タイプ)
× 氷業者から氷を買わなければならない
× 設置面積が大きい(ブロックアイスが大きい)
× マーケット小
△ 海外市場(ブロックアイスの普及は・・・??)

●キューブアイス型
○ 手軽、汎用性が高いので海外市場に出しやすい?
○ 設置面積を小さくすることが可能
○ 製氷器の氷でOK(氷を購入しなくて良い)
○ マーケット大
△ 食感がざらざらする(かき氷本来のふわふわの食感ではない)
※キューブアイスをブロック同様平面を削ればふわふわの食感
× 音が大きい(工夫する)

これから新たにかき氷製造機を開発するにあたって、どちらのマシンを目指せばいいのだろう?
ブロックアイス型はふわふわなかき氷ができるが、すでに既存メーカーが技術を確立しており、後発でそこに食い込むことは難しそうだし、ブロック氷を購入する飲食店は少数派では?
逆にキューブアイス型は既存の製氷機の氷が使えるので汎用性が高いうえ既存マシンの氷削品質が高くないので、もしキューブアイスでもふわふわなかき氷が実現できればチャンスはあるかもしれない・・・
かき氷の専業店ではなく、コース料理の食後にかき氷を応用したデザートを考えるレストランやアイスモヒートのようなカクテルを考えるバーに置いてもらえるマシンを作れば良いのでは・・・?

そう考え、まずはキューブアイスでどんなかき氷ができるかをテストすることにしました。

翌日さっそくホームセンターに行き、氷を削るための実験道具を買いそろえました。
実験道具といっても、ドリルとカンナです。 笑

冷蔵庫で作ったキューブアイスをドリルで回転させてかんなで削ってみました。ブロック型かき氷製造機のなんちゃってミニチュア版です。

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カンナの刃を調整しながら削ってみると、既存のキューブアイス型にはないふわふわのかき氷を作ることができました!

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この方法なら、ブロックアイス型に負けない食感を実現できるかもしれません。
ただブロックアイスより氷が小さいので、氷片が短いことや融けるまでの時間が少し気になりましたが、見ている感じではなんとかいけそうです。

このままキューブアイス型の研究をすすめることにしました。

つづく。

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氷室神社とメイカーズ ~himuro開発ストーリー#01

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「だったら自分で開発したらいいじゃん!」

2016年4月、今年度から奈良市立一条高校の校長に赴任された藤原先生と、奈良で創業140余年を迎える印刷会社明新社の乾社長との食事会で、stu-artプロジェクトの話をおふたりに聞いてもらっていました。
2年前あるかき氷機製造メーカーから新製品にイタリア芸術学校の学生デザインを採用する案件をもらいましたがうまく進まず、「デザインというカタチのないものを売るって難しいですね」と、弱音を吐く私に藤原先生がこう言いました。

「かき氷製造機をですか??」

「かき氷製造機いいですね!氷室神社って知ってる?」と乾社長が話し始めました。

東大寺の西側にある氷室神社は奈良時代に創建された氷の聖地で、毎年5月に献氷祭が行われ全国の製氷業者、氷小売業者が集まります。さらに数年前から県内の有名かき氷店だけでなく全国の人気かき氷店が結集しオリジナルのかき氷メニューを競う「ひむろしらゆき祭」が開催されているとのこと。

「イタリアンデザインの新しいかき氷製造機を奈良で開発して、来年のしらゆき祭に出店したら絶対おもしろい!」

酔った勢いも手伝ってあっさりと新しいプロジェクトが生まれました。

しかし、イタリアンデザインは良いとしてモノづくりの経験のない自分に製品開発などできるのか?
酒の席の戯れ言だよなこれは・・・・
と、帰宅後思い返していたときに、少し前に読んだメイカーズのワクワク感を思い出しました。

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メイカーズ/クリスアンダーソン著
デジタルによる革命は、これからが本番だ!

21世紀の製造業は、アイデアとラップトップさえあれば誰もが自宅で始められる。ウェブの世界で起こった創作と発明手段の民主化が、もの作りの世界でも始まったのだ。メイカーズ(モノ作る人々)の革命が、世界の産業構造を再び変える!ベストセラー『フリー』『ロングテール』の著者が描く、次のパラダイムシフト。(NHK出版サイトより)

 

 

そう、アイデアとパソコンがあればできるんじゃないか!

かき氷製造機は、氷を上から押さえて回して削るだけの単純な構造だし。
(製造メーカーの方すみません!<(_ _)>)

と、かき氷製造機より単純な思考回路でやってみることを決心したのでした。

つづく。

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