月別アーカイブ: 2017年1月

原点回帰、やったろかい!  ~himuro開発ストーリー#26

「これがメイカーズをはばむ量産試作の壁です。」

プロトタイプの制作について、東大阪でも京都でも良い方策が見つからず、ステンレス製のテスト機眺めながら数日考えました。

そして結論がでました。

「原点に戻り自分で作ってやろう!」

です。(笑)

氷削テスト機の制作でお世話になったヒガシモトキカイさんとのコラボになじんでしまい、今回のプロトタイプ制作も次なるパートナー企業を探すことばかりを考えていました。しかし初めから製作パートナーはいなかったとすれば自社だけで進めていたはずです。それから考えるとテスト機が手元にあるだけでもラッキーですよね。

稼働する部分の部品はテスト機にあるので、これらを流用しながら高さ30cm程度に設計し直し、ホームセンターで売っている金具などで制作したフレームにパーツを取り付ける。どうしても溶接が必要な箇所はエンジン溶接機の1日レンタルがあるので、それを活用する。基本となる氷削メカニズムはそれほど複雑ではないので、細かな使い勝手や耐久性にこだわらなければ、なんとかできるかもしれない。

つまり映画のセットのようにフレームとパーツだけでマシンを組み上げ、イタリアンデザインのカバーはそれを覆うだけというイメージです。
細部の仕上げや製品としての品質追求には課題は残りますが、それらは量産化が決まってから行うことにしました。

ようやくやるべきことが決まり、俄然気合いが入りました!

つづく。

stu-art (スチュアート)は、イタリアのデザイナー・アーティストを応援しています。

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ダウンサイジングと試作の壁  ~himuro開発ストーリー#25

2017年が始まりました。

himuroプロジェクトは、昨年暮れの氷削実験用テスト機の完成をもってヒガシモトキカイさんとのコラボレーションが終了しました。これまで半年間親身になって相談に乗っていただきすばらしい氷削テスト機を作ってくださったヒガシモトキカイさんには感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました!

というわけで、2017年は新たなパートナー企業を探すことから始まりました。
himuroプロジェクトの次なる課題は、
製品化を前提として
●可能な限りダウンサイジングする
●イタリアから送られてきたデザインにメカニズムを落とし込む
です。

まずは関西のものづくり支援拠点である「クリエイション・コア東大阪」を訪ねました。

コーディネイターの方の話によると、ここに登録している製造業者は東大阪を中心に約5000社ほどありますが、ほとんどが単品の部品加工製造メーカーで、家電機器のように多くの部品を総合的に組み上げるとなると、一部の大企業に限られるでしょうとのことでした。
そして、すぐにでもパートナーを決めて動き出さないと5月に間に合わないとのことです。(汗!)

今後の進め方にいくつかの提案がなされました。
A:奈良県内での開発にこだわるなら、まず国立高専や奈良先端科学技術大などに産学協同開発を提案する。
B:京都に試作ネットというところがあるので、そこに相談してみる。
C:既存のかき氷製造機メーカーに持ち込んで、共同制作を依頼する。

うーむ・・・産学協同はとても魅力的な響きですが、時間がかかりそうなのでPLAN Bである京都試作ネットを訪ねることにしました。
京都試作ネットは、京都の機械金属関連の中小企業を中心に試作加工に特化したソリューションを提供する企業ネットワークです。

担当してくださったメンバー企業の方は、
●制作期間がとてもタイトなこと
●構造の問題
メカニズムが頭部に集約されているデザインなので、重心が高く安定しない。パーツの配置や 重量配分に工夫が必要。(ドラえもんのように首がもっと太いと設計しやすい)
●ダウンサイジングの課題
ダウンサイジングは製品化で最も知恵とノウハウが必要なところ。使い勝手や制作コストに対しダウンサイズは、ほとんどトレードオフの関係になる。普通は何度もモックを作り、落としどころを探る(そんな時間はないです。泣)
●曲面で構成されるカバーデザインの問題
3Dプリンタでできなくはないが、この大きさだと相当な時間とコストがかかる。また将来量産化を図る場合での樹脂射出成形の金型制作にはさらに大きなコストが必要

「これがメイカーズをはばむ量産試作の壁です。」キッパリ

なるほど、売れるかどうかも分からない段階から大きな投資が必要な新製品開発は相当ハードルが高いということがよく分かりました。
じゃあ資金力の乏しい中小の製造業者はどんな方法で新製品開発のするのでしょうと聞くと、ほとんどが政府や公的機関の助成金を活用するとのことでした。

これはなかなか大変だ。。

つづく。

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