月別アーカイブ: 2017年7月

発想の転換! ~himuro開発ストーリー#39


himuroの製品化に、大きな壁が立ちはだかりました。

量産後の販売台数のことは少し横においといても、生産を始めるまでの金型等のイニシャルコストだけでも相当なものになります。販売台数の見込みも持てない現段階で簡単に始めることはできません。

もう製品化は無理ではないか。。。。

正直、そういうことが頭によぎりながら、久しぶりに藤原先生とお会いしました。奈良駅の近くにある沖縄料理店で、しらゆき祭後の池永鉄工さんとのやりとりを説明し、このままでは製品化は大変厳しい状況ですと。。

じっくりと説明を聞かれた藤原先生は、池永鉄工さんがパーツ構造の分析や製造原価の見積りなど、ここまで真摯に対応してくれたということは、himuroプロジェクトはまんざら捨てたものではないのではないか?
だとすれば、ここであきらめずにもう少し前に進めてみたらどうかと話されました。

そしてご自身のデザインワークや製品開発のご経験から、金型などを海外で生産するアイデアとともに、いっそ発想を変えて数千台の量産ではなく、徹底的に職人の手作りにこだわった限定生産にしてはどうかと提案されました。
一般的なコンシュマーをターゲットにした大量生産品ではなく、世界の富裕層を相手にしたプレミアム品質の製品です。実際アラブの石油王などがプライベートジェットで関西国際空港に降り立ちヘリコプターに乗り換えて奈良まで来て、とんでもなく高額な美術工芸品などを購入しているらしいのです。こういう人々が日本古来の食文化であるかき氷を知り、ホームパーティでお客に振る舞うような使われ方だって、あるのではないか。。

そうか!
製品化=量産ではなく、機械製品なのだから職人の手作りで生産することも考えられる。もちろん品質はとことん極めなければならないが、世界的なブームにある日本食のデザートとして、日本古来からの食文化「かき氷」を世界の富裕層に知らしめるとともに、日本の優れた職人技で製品をつくりMade in Japanのすばらしさを再認識してもらえるような製品にすればいい。2020年には東京オリンピックも控えており今後ますます日本の文化や日本食が世界中から注目されるチャンスでもある。。。

目の前がパッと明るくなる気がしました。

himuro PV → https://youtu.be/kuvod81lXj8

つづく。

stu-art (スチュアート)は、イタリアのデザイナー・アーティストを応援しています。

http://www.stu-art.jp

mail:info@stu-art.jp ※ @は半角に置き換えて下さい。

量産のカベ。。。。(T_T) ~himuro開発ストーリー#38

池永鉄工さんとのミーティングから1ヶ月がたち、2回目ののミーティングを行いました。

こちらで手作りしたプロトタイプをもとに、
このメカニズムにどんなパーツが必要か、
パーツは鉄板の曲げ加工でできるのか、ダイキャスト(鋳造)で製作するのか、
外観のカバーをどのように製作・取付するのか、
などなど、詳細に検討が加えられました。


今までにない氷削メカニズムなので、既製のパーツはほとんど使用できず。パーツを1点1点製作しなければなりません。
ダイキャストのパーツや外観カバーの樹脂を製作するには金型を準備する必要があり、巨額の資金が必要になります。また当然量産化となれば初回の生産台数(ロット)も何千台となり、マイホームを建てるどころではない初期投資が必要になります。

全くの新製品なので何台売れるか見当も付きません。何も分からない段階でこれだけのリスクを抱えながら生産に踏み切るのは、冒険を通り越して無謀なことになってしまいます。

試作の際にも味わったメイカーズの壁が、ここでも、そして何倍も大きくなって立ちはだかりました。(T_T)

現在でも日本国内には多くの製造業や町工場があり、大変優れた技術を持った職人さんたちがいます。
中小企業基盤整備機構が運営するクリエーションコア東大阪にも5000社を超える製造業者が加盟していますが、組み立て完成品を製造販売するのはごく一部の大手メーカーだけで、ほとんどが単品のパーツを製造加工する企業ばかりというのも、よく理解できました。組み立て完成品を開発・販売しないのは、技術的な問題以上に資金的な問題があるのです。

果たしてhimuroの製品化は実現できるのでしょうか?

himuro PV → https://youtu.be/kuvod81lXj8

つづく。

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