月別アーカイブ: 2016年6月

一条高校よのなか科で授業をおこないました。試作パートナー出現!? ~himuro開発ストーリー#16

6月25日(土)一条高校「よのなか科」で授業をさせていただきました!

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(よのなか科とは)
奈良市立一条高校校長の藤原和博先生が提唱推進している「学校で教えられる知識と実際の世の中との架け橋になる授業」のこと。 教科書を使った受身の授業とは異なり、自分の身近な視点から世界の仕組み、世の中の仕組みなど、 「正解」のない成熟社会特有の課題を扱う。
カリキュラムの目的に沿ったゲストを迎え、生徒の思考回路を刺激し、ときに通常の授業では得られない種類の知的な感動を与える。授業には高校生のほか社会人も参加しアクティブラーニングの見本となっている。(よのなかnetより)

テーマは「奈良発かき氷製造機の商品開発とメディアリテラシー」です。
90分の授業時間の前半は、「氷文化の発祥「奈良」から、次世代かき氷製造機を世界にプロデュースしたい!」というテーマでプレゼンをおこない、後半は高校生を交えたグループに分かれて「奈良発オリジナルかき氷メニュー開発」のワークショップを行いました。

授業には、一条高校生、奈良教育大学生のほか、地域の社会人の方々、奈良市観光局の方、さらに、乾社長のご紹介で、奈良名産柿の葉寿司の老舗社長(県内に人気かき氷店も出店されています)や、観光局のご紹介で、関西圏に17のレストランや洋菓子店(全て人気店)を経営しかき氷の蜜の商品開発に興味があるM社長、かき氷研究家のK氏、最高級バニラを使用したかき氷を開発されるパティシエのI氏、そしてなんと仲川奈良市長にもお越し頂きました!

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テーマのゆるさ、みんなでわいわい楽しくメニューを考える、そして藤原先生の巧みな誘導と笑いで、始終和やかな雰囲気の授業だったと思います。
そして極めつけは、生徒が考案したメニューの特別審査委員長として、ご当地ヒーロー「ナライガー(乾社長考案)」がサプライズ登場し、来場者にすごいインパクト与えました!

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授業の終盤で、来年5月の「ひむろしらゆき祭」デビューに向けて製品開発を進めるということや、今後は(できれば奈良県内で)製造業の方とのコラボレーションで試作機の製造に取りかかりたいが、どなたかそういうお知り合いはありませんか、と来場の方々にお尋ねしたところ、なんと仲川市長が手を挙げられ、ちょうど良い企業があるとご紹介くださいました!

奈良県内で食品加工用機械を開発製造販売をされている「株式会社ヒガシモトキカイ」です。

いよいよ試作が実現しそうになってきました!

 

つづく。

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mail:info@stu-art.jp ※ @は半角に置き換えて下さい。

試作の季節 ~himuro開発ストーリー#15

今までいろいろな実験を繰り返してきましたが、そろそろ本格的な試作機を作ってテストをしなければなりません。

しかしどうやって作ればいいのだろう?

いろいろな方からアドバイスを頂きました。

himuroプロジェクトをここから先に進めるには、

・求められるスペックをもとに設計図を描くことができる人材がまず必要。
・パーツの調達先などに熟知したコーディネーターも必要
・地元の工業高校の先生を巻き込んで、生徒と一緒にデザインし、ものづくりはその先生の知り合いに頼んでいくということはできないか。
・クラウドワーキングサイトに投げてみるのも方法
・東大阪には「クリエイション・コア大阪」という相談窓口がある
・新潟の燕三条に「燕三条地場産業振興センター」というのもある。ここは刃の名産地!
・その他各地の中小企業の集積地にもこういうネットワークがあるのではないか。

とのことでした。

確かに設計図の制作をはじめ、筐体の強度や各動力のスペック、安全性の担保、特許技術の調査、標準品でまかなえる部品と金型から製作すべき部品の選定な ど、プロトタイプ制作に至るまでに専門家に関わってもらいたいことが無数にあります。

「氷文化発祥の奈良から次世代かき氷製造機を開発したい!」というプロジェクトなので、できれば奈良県内の製造業の方に関わってほしいです。
そして都合の良い考えですが、できれば外注に出すというスタンスではなく、このプロジェクトに興味をもってパートナーとして参画してもらいたいです。

調べてみると奈良にも「奈良県産業振興総合センター」というところがあったので、さっそく尋ねました。

ところが担当してくださった方によると、こういう機械の試作をやってくれる会社は奈良で思い当たらないとのことでした。泣
確かに県内の主な工業団地に入居している企業のほとんどは、大阪などの他府県企業の「奈良工場」ばかりです。

県内では難しいとなれば奈良→大阪→関西→全国とアンテナを拡げるしかありません。

翌日、梅田のヨドバシカメラの生活家電フロアに行き、ブレンダーやミキサー、フードプロセッサーを作っているメーカー名を片っ端から調べました。これらの機器はかき氷製造機同様、モーターと刃を使用します。

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D-STYLIST、バーミックス、ブラウン、クイジナート、テスコム、ティファール、タイガー、山本電気、YAMAZEN、フィリップス、ゼンケン、プライム、HUROM、エスキュービズム、仲佐、Oster、Siroca、ビタントニオ、HI-Rose、デロンギ、貝印、コイズミ、岩谷産業、ツインズ、プリンセス、Ferrano、Pieria、パール金属、ドリテック、イズミ、ラッセルホブス

ヨドバシに展示しているブランドだけで31社ありました。この中には海外ブランドや輸入元(や販売代理店)で、製造メーカーではないところもあると思いますが、ひとつひとつリサーチして、パートナーになれる可能性を探ってみようと思いました。

つづく。

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問題発生! ~himuro開発ストーリー#14

氷削品質に問題発生です!

氷(キューブアイス)をタテに3個積み、これを下から削るのですが、一番下の氷を削り終わる間際に、小さく薄くなった氷片が刃の隙間から飛び出してしまうことがあるのです。
せっかくふわふわなかき氷ができても、1粒2粒ガリっとした氷片が出てしまうわけです。
一粒くらい・・・と思いましたが、味や食感にシビアな日本市場では通用しない氷削品質となります。

なんとか、この問題をクリアできないか?

ここ数日いろいろ調べながら、今のところ2つの解決策を考えています。

1.3つタテに積んだ氷に圧力を加え、復氷性質を利用してくっつけてしまう。
※くっついてひとつになれば、小さな氷片はできないのでは?

2.1つ目の氷を削り終わるギリギリのところで、小さな氷片をどこかに排出する、または溶かす。

今日は「1」の簡単な実験を行いました。


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実験内容は、冷蔵庫で作った氷をアルミホイルで包み、数秒間手でしっかり握るだけです。笑

圧力だけでは心許ないので体温も利用して表面の氷を溶かし、その後手を離すと、再び凍りつくという原理です。
結果は、確かに氷はくっつきました!

しかし、この接着力は氷が刃によって削られる力とそれに伴う振動に耐えられるのか微妙な状態でした。
熱伝導率の高いアルミで氷削機構部分を作成し、室温やモーター熱などを氷に伝えながら圧力を加えれば、筒にいれた3個の氷がくっついてくれるのでは、と期待していますが、氷がつぶれない程度の適切な圧力の強さ、圧力を加える時間の長さ・・・・もはや物理学の領域です。泣

そして、これは室内の気温やマシンの温度変化にも左右されそうです。
たとえば連続してかき氷を作った場合、2回目の時は1回目より氷の筒の中の温度は確実に低くなっています。ということは、加えるべき圧力も変化します。

氷くん・・・なかなか奥が深いです!

もう少し復氷実験を繰り返し、うまくいかないようなら「2」の方法も検討してみます。
もしくは何か別の方法で筒の中の3個の氷を瞬時にひとつにくっつけてしまう瞬間冷凍のような方法も探してみたいと思います。

つづく。

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ふわふわ食感をもとめて  ~himuro開発ストーリー#13

先日製作したMock-upサイズに従い、原寸サイズでの氷削実験を試みました。

メカニズムはこんなイメージです。
TypeA(タテ3列×3連の氷を1枚の刃で削る)

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TypeAの特長は、

想定されるメリット
・氷削品質が安定している。
・刃の調節が1カ所で済む。
・3連の氷のフレイバーを変えることで、オリジナルメニューが考案できる
・製造コストが安い

想定されるデメリット
・削る音が大きいかも
・2段目の氷を削る際に、氷の粗さが変わることがある。
・氷の充填が、筒が細いので入れにくい(機構的な工夫が必要)

続いて、TypeB(タテ3列×3連の氷をそれぞれ3枚の刃で削る)を考えました。

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TypeBの特長は

想定されるメリット
・氷削機構が一番先進的(イノベーションが感じられる)
・削る音が、一番小さい
・3連の氷のフレイバーを変えることで、オリジナルメニューが考案できる
・3つの刃が別々に削るので、色の違うかき氷を盛りつけることができる。

想定されるデメリット
・刃の調節がめんどう
・よって氷削品質が安定しないかも
・2段目の氷を削る際に、氷の粗さが変わることがある。
・氷の充填が、筒が細いので入れにくい(機構的な工夫が必要)
・ 一番機構が複雑なので、製造コストが高い

これらの仮説を実際に確かめたいと思います。

モーターや底辺の刃の部分をゼロから加工制作するのは時間もコストもかかるため、例によって市販のかき氷製造機を購入し、氷を回転させるサヤの部分をちょこっと改造し、キューブアイス3個をタテに回転させる仕組みを作りました。

この方法で満足のいく食感のかき氷ができるのか・・・・???

この実験機の氷を収納するところは直径95mmあり、ちょうどTypeBとほぼ同サイズですので、氷の収容部分に多めのエアコン断熱材と塩ビのパイプで図のようにして削ってみました。

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結果、大成功!! \(^^)/

家庭用冷蔵庫の氷や、業務用製氷機でできる氷サイズを試しましたが、いずれもふわふわ氷を作ることができました!

かき氷専業店が主に使用するのはブロック アイス型の機種で、キューブアイス型の機種ではふわふわな食感にならないというのが定説でした。
しかし、これは既存のキューブアイス型かき氷製造機の氷削機構が、氷をかく拌して削るようになっているからです。

もともとブロックアイス型のかき氷製造機は、立方体の氷を上から押さえて回転させ、底辺の刃物で削る単純な機構です。

47367824 - poker ice

一方キューブアイスも立方体ですから、上記の機構をそのまま縮小すれば同じではないかというのが、今回の開発コンセプトのスタートでした。

今回の実験でそれが証明できたと思います。

ふわふわに削るポイントは
・冷蔵庫から氷を出して表面が少し溶けるまで放置する
・キューブアイスの底面に刃を当てる
・刃の出し具合と角度に注意する
・上記を注意すれば、ブロックアイスでもキューブアイスでも結果は同じ

ということです。

こういう結論に基づくと、キューブアイスはダメとか、ブロックアイス(純氷)でないとダメとかいうのは、実はそれほど大差がないのかもしれません。

あくまで食感ですから、感じ方には個人差があります。
私はどちらかというと無頓着な方なのでアテにならないかもしれませんが、ふわふわのかき氷ができたとして、その上に甘いシロップやさまざまなフレーバーをトッピングした時点でかき氷の表面は溶けますので、そこまでの氷のきめ細かさの違いは分からないよう思うのです。それでも「天然氷だ、純氷だ」というのは、プラシーボ効果と同じで、そういう気持ちを作り出すさまざまな演出が効を奏しているだけなのかもしれませんね。 笑
(かき氷関係者のみなさん、すみません!)

つづく。

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