月別アーカイブ: 2017年3月

東大阪の町工場で生まれたマシンの顔 ~himuro開発ストーリー#30

プロトタイプの制作もいよいよ佳境に入ってきました。

氷削メカニズムとシャーシ部分は完成したので、マシンの要である「顔」を発注しました。
顔はステンレス製の真円で、さすがにDIYでは不可能です。文字通り「顔」なのでべっぴんさんに仕上げたいです。
そこで、古くから親しくしていただいている奈良の看板施工業者である三岡商事さんに相談したところ金属加工専門の業者を紹介してくれました。
東大阪の有限会社カンサイ松本金属さんです。
予めFAXで仕様を送り顔部分の円盤ができたタイミングでマシンを持ってお邪魔しました。


The町工場!という雰囲気の工場で、職人さんたちが一生懸命働いています。
職人さんは、ボクからマシンを受け取ると、定規を使って円盤の顔にささっと印をつけ、ドリルで穴を開けます。その間約10分!
スゴすぎます!スライドする氷容体の上下幅にぴったりハマる位置に顔が取り付けられました。
これぞ日本製品のクオリティを支える底力です。

しかしこのような東大阪の町工場がバブル崩壊後の20年ほどで約半分になったと聞きます。多くは大手企業の下請け工場でしたが、円高で大手が海外に生産拠点を移し日本の中小工場が取り残されたのでした。得意の技術をいかして新製品を開発しようとしても、ここにも「量産試作のカベ」が立ちはだかります。
このすばらしい加工技術にstu-artがイタリアのすぐれたデザインを融合し、クラウドファンディングで資金調達しながらオリジナル製品を開発販売することはできないでしょうか?
これはstu-artを立ち上げたときから考えていた構想ですが、himuroの完成を機にこんなコラボレーションを積極的に進めようと思いました。

Designed by Italy & Made in Japan 世界一クールなデザインと品質の融合です!

つづく。

stu-art (スチュアート)は、イタリアのデザイナー・アーティストを応援しています。

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mail:info@stu-art.jp ※ @は半角に置き換えて下さい。

 

試作の壁突破!メカニズム完成! ~himuro開発ストーリー#29

刃のついた前面パネルを固定し内側の氷容体を左右にスライドさせるメカニズムでプロトタイプを制作することにしましたが、実は最大の難所がありました。

それは左右にスライドする氷をどうやって固定するかです。
しかも氷は削れる度に薄くなっていくので、それに合わせて一定の強さで押さえていかなければなりません。氷容体を左右にスライドさせるモーターの回転運動を利用して、今度はスライドする氷容体の後方から回転力を利用して氷を少しずつ押す仕組みをいろいろ検討しました。フレキシブルシャフト、ウォームギア、ラックギア・・・

改めてインターネットの便利さを実感しました。
「スライド・回転・ギア」などのキーワードで検索すると、いろんな仕組みが動画などで確認できます!また通販サイトでは必要なパーツも購入できます。
凄い時代になったものです。メイカーズもこのインフラがあってはじめてものづくりが可能になるのですね。

あれこれ調べ検討を重ねた結果、ついに解決策が見つかりました!
タイミングベルトを2つ組み合わせて、ひとつのモーターの回転力で氷容体のスライドと氷を押さえる軸の回転をさせるメカニズムです!

モーターには120回転/分の減速ギアを取付け氷容体を左右にスライドさせます。これに3コのタイミングプーリを利用して回転数を1/3に落とし氷を押す回転軸に動力を伝えます。氷を押さえる回転軸は1回転で1mm進むのでスライド1回で約0.3mm氷を前方へ押します。つまり1スライドで削るかき氷の薄さは0.3mmということになります。ギア比と刃の出具合を調整すればもっと薄く削ることもできます。
これでようやく次世代かき氷製造機himuroのメカニズムが完成しました!

ついに試作の壁を破りました! \(^^)/

つづく。

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